今年度の大型補助金の第一クールが終わりましたね。今回は補助額の高さからニューフェイスである事業再構築補助金の注目度が、非常に高かったと思います。
私も事業再構築補助金のご相談を多くいただきましたが、実際の申請のお手伝いまでに至ったのは思ったよりも多くありませんでした。
その主な理由を挙げますので、次回以降に申請を計画している事業者様は参考にしていただければと思います。
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売上高が思ったよりも落ちていなかった
申請要件の一つに、売上高が減っていることがあります。具体的には、2020年10月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少していることが必要です。
当初は「減っているはず」と仰っていたのですが、後になって税理士から売上データを入手したところ、減少率は10%未満だったという案件が複数ありました。
見ればわかるくらい減少している場合を除き、月次の売上データは把握しておいた方が良いと思います。
「事業再構築」の要件に合わない
事業再構築は、事業再構築指針の中に細かな定義があり、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編の5つとされています。
この他にも、製品等の新規性要件(過去に製造等した実績がないこと、製造等に用いる主要な設備を変更すること、定量的に性能又は効能が異なること)、市場の新規性要件(既存製品等と新製品等の代替性が低いこと)、売上高10%要件/売上高構成比要件(新事業の売上が総売上高の一定割合を占める必要がある)など多くの要件があり、これらを満たした事業構想ではなかった案件もありました。
具体的には、申請対象の事業は昨年以前にすでに開始、本業と同じ事業で地方出店、過去に経験のある事業の焼き直し、シミュレーションしたら新規事業の売上高が少なすぎる、などです。
補助額が思ったよりも少ない、支出が補助対象の経費ではない
補助金は、補助される補助対象経費が決まっています。新規事業のための全ての支出が対象になるものではありません。事業再構築補助金の場合、建物の建設や改修、機械装置やシステム構築費、広告宣伝費などは対象となりますが、土地・建物・自動車の購入費、契約料、パソコンやタブレット端末、消耗品費、人件費などは対象外となります。
「単純に3,000万のうち2,000万が戻ってくると思っていたけど、1,000万しか戻ってこないなら考えます」というようなお話をいただくことが多かったです。
今回ご相談を受けての印象ですが、特に店舗ビジネスの場合には補助対象外の出費が多いように思います。
番外編
事業再構築補助金の公募要領の21頁に「基本的に、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資をしていただく必要があります。このため、一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占めるような場合には、本事業の支援対象にはなりません。」という記載があります。
事業資産への投資となるものは、補助対象経費の区分では「建物費」「機械装置・システム構築費」「技術導入費」となります。資産性のない経費のみを計上する事業や、1つの経費区分だけに大半の経費を計上する事業等、特段の理由がある場合は「理由書」を添付することで申請することはできますが、これらに投資せず、例えば広告宣伝費ばかり計上するといった事業計画は、採択が難しいのではないかと予想します。
R3年度の主要補助金スケジュール
本記事執筆時点でわかっている主な補助金のスケジュールを表にまとめました。後半の日程が発表されていないものもありますので、それらについては判明次第ご紹介しようと思います。