9月1日は防災の日でしたね。今年は土曜日だったので、今日あたりに地震発生を想定した避難訓練を計画しているところも多いのではないでしょうか。
避難訓練は一般的に、建物内にいるときに地震や火事が発生した際にまず身の安全を確保し、次に二次被害を防ぐために建物の外に避難します。形骸化しているところも多いようですが、このような訓練を繰り返し行うことで、災害時の行動が身についていきます。
でも、避難訓練の主な目的は、一般的には「人の安全」を図るものです。もし、あなたの会社が被災した際の「事業の安全」はどのように図りますか?
日本は災害大国だとよく聞きます。実際、大阪の地震、西日本を相次いで襲った豪雨や台風など、各地で自然災害によって大きな被害がでていることは記憶に新しいです。防災の日をきっかけに、万一被災したときに「自社の事業」がどうなるのか、考えてみてはいかがでしょうか。
ただ漠然と思いを巡らせていても思えが発散してしまいますので、BCPを作成する際の考え方を活用することをお勧めします。
BCPはBusiness Continuity Plan=事業継続計画の頭文字をとったものであり、災害や事故などの緊急事態が発生したときに、企業の損害を最小限に抑えて、事業の継続や復旧を図るための計画のことです。
BCPは東日本大震災の後に話題になったので、お客様から求められてを作成した方も多いのではないかと思いますが、BCPをきちんと作ろうとするとかなり時間がかかります。そこで、まず最初に「事業影響度分析」を行ってみるのはいかがでしょう?
事業影響度分析とは、JIS Q 22301:2013によると「活動、及びその活動に対して事業の中断・阻害が及ぼし得る影響を分析するプロセス」とあります。要するに、災害や事故で業務ができなくなった時に、どんな影響が出るか把握しておきましょうということです。「なんだ、そんなこと簡単じゃん」と思うことなかれ。会社の事業が停止するのは、自社の主要な業務の停止だけではなく、付帯業務が滞ることで事業に差し支えることもあります。
例えば、自社に被害がなくても、原材料の購入先が被災することで供給が滞ったことで製品が作れなくなる。あるいは、経理担当が出社できなくなったことで送金が間に合わずに不渡り、、、ということは考えられませんか?
そして、自社の事業停止は、社内外に影響を及ぼします。直接の顧客以外にも、例えば、従業員の福祉、法対応、近隣や社会的な評判、自社の財務能力、製品の質の劣化、周辺環境といったところへの影響が考えられます。
特に自社の財務面への影響を把握することで、「自社が事業を停止していられる時間」が見えてきます。これが、RTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間)の一つの目安になると思います。RTOを大幅に超えるような被害が出ている場合には、厳しい選択も考慮に入れる必要が出てきます。
こういったことを考えていると、ゾッとすることもあると思います。その一方、事業停止の影響が分かってくると、対策を取る必要性も実感するのではないでしょうか?
でも、経営資源が限られている中で、一度で全てに対策することはできません。優先順位をつけるためには、リスクアセスメントを行う必要があります。
リスクアセスメントについては、次の機会にお伝えしようと思います。