EUへの年間輸出量が1~100tである物質の予備登録を本登録とする期限が、去る5月31日をもって終了しました。今後は”既存(過去からEU域内で流通していたもの)”と”新規”の差がなくなり、未登録の物質を新規として扱う、いわゆる「通常の申請」となっていきます。
これで、2008年から始まった10年間にわたるREACHへの段階的導入も終了したわけですが、ちょうど私が化学物質に関する法対応に関わったのもこの時期からでしたので、思えば感慨深いものがあります。ISOの規格を読んでいた経験はあったものの、初めの頃は法律の条文を読んでも全く理解できず、法学部出身の友人に泣きついたこともありました。ましてや海外の規制などは、JETOCが条文解説のセミナーを行っていたものの、解釈について相談できる先を見つけるのも大変でした。
法律ではよく「~~とする。ただしこれ以外は〇〇の判断による」という条文がありますが、この”判断”のところを役所に聞きに行っても「原則論の範囲で行ってください」と言われるだけで取り合ってくれません。自分で”法令則”以外の細かいルール(告示、標準など)を調べたり、実務家を検索して地道に尋ね歩いたりした記憶があります。
最近、この領域は一種の”エアーポケット”なのかもしれないと思うようになりました。
まず、大学の学部が違う上に、理系/文系という分類でも分かれてしまう化学と法律を、どちらも理解する機会はあまりありません。化学者に聞いても、法律の質問に答えられる人は少ないと思います。
一方、弁護士など法律を扱う側でも、化審法、消防法、毒劇法といった化学系の法律に対応している方は少ないように感じます。安衛法は「有害業務」を扱える第一種衛生管理者の範疇となりますが、衛生管理者の業務は他の法律までは及んでいません。
2002年のヨハネスブルグサミット(WSSD)で定められた実施計画において、2020年までに化学物質の製造と使用による人の健康と環境への悪影響の最小化を目指すとされたこと、また最近話題となっているSDG’s、環境問題、エネルギー・資源問題などから、化学物質に関する規制がどんどん強まっています。
”エアーポケット”でお悩みの方のお役になりたいと思います。